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issue date : 25-DEC-2006
今回は「印刷産業と環境問題」各論シリーズの2回目として,「環境問題と印刷工程」についての情報をお届けします。
印刷工程における環境問題としては,インキおよび印刷工程から発生するVOC(揮発性有機化合物),印刷機からの騒音・振動,刷り出しや不良などによる損紙の抑制とリサイクル化などの問題があります。
■大豆油インキやノンVOCインキの活用
印刷インキは顔料(色の成分),顔料を分散・固定させるための樹脂や溶剤で構成されるビヒクル(ワニス),印刷適正を高めるための補助剤を原料としています。このうち溶剤として使用されている石油系溶剤からのVOC発生による人体へ悪影響や大気汚染が環境問題となります。
このためインキメーカーは以前より石油に代わる植物油インキの開発を進め、石油系溶剤の含有量が25〜30%だったのに対し,石油系溶剤が15〜25%(大豆油が20 %以上)の大豆油インキを販売してきました。
現在では,インキの約70%が大豆油インキとなっており,4色カラーのプロセスインキでは石油系溶剤1%未満のノンVOCインキの使用も増えてきており,今後これらインキを活用していくことが重要となっています。
■湿し水・洗浄剤からのVOC発生の抑制
印刷工程においてもVOC発生の原因となる溶液が使われており,その抑制が必要となっています。
- オフセット印刷で使う湿し水にはエッチ液やIPA(イソプロピルアルコール)が含まれており,これがVOC発生の原因となります。
このため最近では,ノンVOCのエッチ液やIPAに代わる添加剤もあり、更に湿し水を使用しない「水なし印刷」というものも出てきています。水なし印刷は,今までの刷版の上に更にシリコンゴム層があり,インキとシリコンゴムが反発することを利用して印刷を行います。湿し水を使用しないためにVOCの削減につながります。
- VOC発生の原因となるもうひとつは,印刷機のローラーやブランケットを洗浄するときに使用される洗浄剤です。洗浄剤はVOC100%で,オフセット印刷工程から発生するVOCの70〜80%の原因となっています。
このためVOC配慮型洗浄剤を使用すること,湿し水濾過装置を設置すること,廃ウエス容器や洗浄剤容器には蓋をすることなどが重要となっています。
■CTPの促進とケミカルレス刷版
CTP(Computer to Plate)はデータから直接印刷用の刷版を作成しますので,製版フイルムが不要となり環境負荷の軽減につながります。ただ,CTPになっても現像工程では現像液を使用,現像廃液が発生し水質汚濁の原因となります。
このため従来は現像液を循環利用するシステムが利用されていましたが,最近では現像液そのものが不要なケミカルレス刷版が実用化され,利用が始まっています。ケミカルレス刷版としては,現像液を使用せず水で現像を行なうもの,専用の洗浄機でクリーニングを行い仕上るもの,焼き付けた刷版を印刷機にセットし試し刷りの段階で処理を行なうものがあります。
その他印刷工程での環境対策としては,印刷機からの騒音・振動対策,損紙の抑制とリサイクル化などの取組みが重要となります。
今回のsanbi-i-comは,エコ印刷研究会の「エコ印刷ガイドブック 2006」などを参考に作成させていただきました。
次回は「環境問題と製本・加工」についての情報をお届けする予定です。
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