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issue date : 5-JAN-2008
最近ではコミックや純小説の携帯向けデジタルコンテンツの販売が利益を伴うようになってきており、学術論文のオンラインジャーナル化も進んできていますが、学術書中心の出版社にとっては、まだ身近な話ではありません。
今回はこのようななかで紀伊國屋書店が今年9月からサービスを開始した学術書や教養書をデジタル化し、図書館向けに配信する「ネットライブラリー」についてまとめてみました。
- 「紙」も「電子」もビジネスへ
「価値あるコンテンツの販売」こそ出版社の原点であり、コンテンツを「紙」に定着させ、奥付で保障する品質と信頼こそ出版社のブランドです。一方検索の利便性、特に全文検索することの威力は「電子」の役割であり、読者のニーズも高まり、出版社もこの動向を無視できなくなってきています。
今後の出版社はこの両方をうまく組み合わせ、全体として経営を成り立たせていく新しいビジネスモデルの構築が必要になってきています。
- 図書館と出版社を結ぶ「ネットライブラリー」
- 「ネットライブラリー」は1998年に米国で創立、2002年には世界最大の図書館ネットワーク「OCLC(Online Computer Library Center)」の一部門となり、現在欧米の主要出版社450社が参加、14万タイトルの電子書籍をカバーし、世界50ヶ国・15,000の図書館にデジタルコンテンツを配信しています。日本では紀伊國屋書店が代理店業務を担当しています。
- 「ネットライブラリー」の販売先は図書館に限られ、サーバから配信されたコンテンツを登録された図書館の利用者がブラウザ上で利用する方式をとっています。コンテンツは全文検索が可能で、買い切りモデルとなっており、図書館は「紙」と同じイメージで書籍を購入することができます。収納スペースからも解放され、利用者へ24時間サービスを提供できるようになります。
- 著作権の管理と価格設定は出版社が行うことになっており、在庫・流通の経費がかからず、品切れのないコンテンツを世界に提供できるなど出版社にとっとも大きなメリットがあります。欧米での統計によると、利用者1セッションあたりの平均利用時間は、1タイトル当り8分です。このことから、利用者は、検索機能を使うことにより、必要部分をピンポイントで読んでおり、通読はあまりされていないことが推察され、必要なコンテンツは紙で読まれ「紙」の販売促進にもつながるといわれています。
- 出版社がコンテンツを「ネットライブラリー」に販売するには
(1)販売チャネルに適合したコンテンツの選択、(2)「紙」と同時に「電子」でも著作権契約、(3)コンテンツをデジタル化することが必要となります。
提供するデータは、表示用の「PDFファイル」、全文検索用の「テキストファイル」、目次用の「XMLファイル」です。DTPデータがある場合は、そのデータを利用します。データがない場合は、既刊本からスキャナーとOCRでデジタル化することになります。この点では印刷会社の協力が重要になります。
「ネットライブラリー」は日本の出版社にとっては新しい取組みですが、大学図書館を中心した学術市場ではすでにインターネットを活用した利用環境が整ってきており、文部科学省も図書館の電子化を推進しています。
紀伊國屋書店では、毎月「ネットライブラリー出版社の会」を開催し、一緒に考えながらこの新しいビジネスモデルを成功させていきたいとしています。
◆今回のsanbi-i-comは、出版ニュース社「出版ニュース2007年7月中旬号」に掲載の「新しい電子出版のビジネスモデル」(黒田信二郎氏)を中心もまとめさせていただきました。
より詳しい情報は、「Net-Library Webサイト」をご参照ください。
http://www.kinokuniya.co.jp/03f/denhan/oclc/index.htm
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