学術論文作成のポイント
皆様が投稿用に論文作成をする際に、学会のサイトから「クラスファイル一式」をダウンロードし、雛型に合わせた記述を行うと思います。
そして「雛型」に沿った形で作成したはずなのに校正紙をみると、行送りや図表のサイズ・配置が変更されているなど、納得のできないさまざまな"不満"を持たれたことがあるでしょうか?
このような問題が起きてしまう論文にみられる特徴を以下にあげました。
次の点に注意しながら記述していただければ、皆様のお手元で作業したものと同じ形での組み上がりが期待できます。
基本情報に関わるパラメータは変更しない
雑誌毎に用意されているクラスファイルは、配布している状態で動かすことが絶対条件となっています。従って、本文全体に及ぶパラメータを変更してしまった場合、確実に元に戻す修正がされます。
例としては \baselinestretch での行間詰めや、別行数式の強引な縮小などです。
フォントを変えない
Computer Modernフォントを、Times系がよいからと txfontsパッケージを追加、などといったケースでは、学会で使用が許可されていない場合には、元に戻す修正がされてしまうことが多いです。
もちろんそれぞれの学会の規則によっても違いますが、基本的にフォント類は変更してはいけません。
レイアウトの調整には注意が必要
\vskip や \vspace* でのアキツメ、図表ネームの上下アキ調節など、レイアウト調整を行っている原稿がしばしば見受けられます。基本的にはクラスファイル通りのアキが標準です。もちろん \section などの上下アキの調整もよくありません。
このような場合は学会のルールによっては、すべて元に戻す対象になります。
また、お手元の環境と最終データを作成する会社の環境が同じとは限りません。
TeXのバージョン、AmSTeX(AmSLaTeX)のバージョンによっては、行ズレや行送りが変わってしまう場合があります。
そのときに本文中で \\ や \linebreak などの強制改行、インデント、センタリング、また、項目の頭揃えなどをするために全角空白や、˜ 、 \hskip 、\hspace を使って調節していると、予期せぬ出力結果となる可能性もありますので使用を控えてください。
パッケージを読み込む際に注意が必要
ご自身で作成したオリジナルマクロはもちろん、\usepackage で新しいパッケージを使用する場合、前述のように「体裁に影響がないか」を必ず確認してください。
中にはコマンドが衝突し、意図しない出力結果になることがあります。
「用語」や「約物」は学会のルールに従う
学会固有の統一ルールがある場合があります。
この用語統一によって本文のズレがでてきますが、こればかりはルールに従って修正していただくしかありません。
用語統一一覧が発表されている学会もあります。そのルールに沿って作成していただければ、お手元で作業したものと同じ形の出力結果が得られるでしょう。